ゴミ屋敷│放置の危険性~ゴミ屋敷になる原因・特徴・対策まで解説

全国で、ゴミ屋敷が問題となっています。そしてそのゴミ屋敷に住む人の多くは、セルフネグレクトの傾向にあると考えられています。

ゴミ屋敷が社会問題として浮き彫りになった当初は、ゴミ屋敷は「高齢者」の問題とされていましたが、現在は20代など一人暮らしの若者もその当事者となり、問題はますます深刻化してきています。

この記事では、ゴミ屋敷を放置することの危険や、ゴミ屋敷を生み出してしまう原因きっかけ、ゴミ屋敷にしてしまう人の特徴から、自宅がゴミ屋敷かどうかセルフチェックする方法、対処法までを詳しく解説します。

1 ゴミ屋敷を放置すると起きる8つの危険

ゴミ屋敷放置の危険
ゴミ屋敷を放置することで、様々な危険が身に降りかかります。

火災

最も危険視されるのが「火災」の問題です。

ゴミ屋敷は煙草やコンセントのトラッキング火災、ストーブや蚊取り線香などがきっかけで大きな火事になりやすくなっています。

火災の出火原因は、平成29年中の出火件数3万9,373件のうち、たばこが3,712件と最も多く、次いで放火が3,528件と高くなっています。
出典:平成30年版 消防白書 4.出火原因」(消防庁)(http://www.fdma.go.jp/

ゴミ屋敷は放火魔に狙われやすい、ターゲットになりやすい家であるともいえます。

悪臭

悪臭は、人間を精神的にネガティブにさせ、ストレスホルモンの分泌量を増加させることがわかっています。

自分自身への影響だけでなく、悪臭は近隣住民へも被害をもたらし、ご近所トラブルに発展したり、ゴミ屋敷化してしまっていることが賃貸の場合は不動産や大家さんにバレてしまい、最悪退去を迫られることすらあります。

害虫害獣発生

ゴミ屋敷には、ハエ・ゴキブリ・ネズミなどが大量発生します。目視で確認できていなくても、溢れているゴミに隠れて生息しています。

ハエは、o-157や消化器系の感染症、皮膚疾患、目の疾患を引き起こすだけでなく、創傷蝿蛆症といって、ハエの幼虫が人の体に寄生することすらあります。ゴキブリは、ピロリ菌やサルモネラ菌をもたらすだけでなく、食中毒やアレルギーを引き起こしたり、ハウスダストやカビをより発生させる原因になります。ネズミが発生すると、フン害にあい、フンが原因で下痢や嘔吐を引き起こしたり、酷い場合は腎不全になってしまったりと、危険なレプトスピラ菌やハンタウイルスなどを家に持ち込んでくる可能性すらあります。

病気・怪我

衛生環境がガクンと悪くなるため、病気になりやすくなります。不衛生な場所で暮らすことになるため、ウイルスや細菌に囲まれての生活がアレルギーを引き起こす可能性もあります。足元もゴミで覆われているため、ゴミが歩くスペースを奪い、転倒のリスクが高くなります。高齢者の住むゴミ屋敷では、転倒後身動きの取れないまま孤独死してしまうケースも増えています。

家屋損壊

生ごみなどが溜まってしまうと、床や壁、家具が腐ってしまう事態に陥ります。また家そのものにも悪影響が及び崩落の危険性が生じてしまいます。

行政代執行

行政代執行とは、市区町村などの自治体が、強制的にゴミ屋敷のゴミや不用品の撤去を強行することを言います。料金はゴミ屋敷の住人に請求されるほか、過去にはゴミ屋敷となっている住人の指名や住所が公表されたケースもあります。

2 ゴミ屋敷になる原因・きっかけ

ゴミ屋敷のきっかけ
出典:内閣府 経済社会総合研究所委託事業「セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査-幸福度の視点から 報告書」

内閣府の調査からもわかるように、ゴミ屋敷になってしまう原因の多くが

  • 精神的な疾患、精神的に落ち込む出来事との遭遇
  • 病気や怪我
  • 人間関係が希薄である
  • 片付けが苦手

といったきっかけを抱えています。

人間関係の希薄さについては、ゴミ屋敷当事者の8割以上が家族がいるにもかかわらず、「定期的な行き来がある」割合は23.9%以下、「ほとんど行き来がなく、話もしていない人」の割合は44.0%と高いことがわかっています。また、近隣住民とも56.5%の割合で「ほとんど接点がない」ことがわかっています。人と会話をしない、人を家に呼ばないことで、ゴミ屋敷が加速してしまうのです。
(出典:内閣府ホームページ

また、ゴミ屋敷にしてしまった当事者の方の多くが「自分がダメだ」とゴミ屋敷にしてしまった自分を責めてしまう傾向にあり、また自分で作りだした問題だから、自分の力で解決しないといけない、と強く思い込み、他人の力を借りないようにと考えてしまいがちです。

「家族が自宅をゴミ屋敷にしてしまったが、片付けに賛成してくれない…」「ゴミ屋敷を作り出してしまったが、自力で片付けたい…」という心理は、そのようなある意味責任感と、ゴミ屋敷化に身を置くことでマインドが固まってしまっていることにあるんです。

ですが、8つの危険からもお伝えしたように、ゴミ屋敷は非常に危険な存在です。人の手を借りてでも、なるべく早く片付けなければ、いずれ後悔するような病気や事故、状況に至ってしまいます。

3 ゴミ屋敷にしてしまう人の特徴

セルフネグレクト傾向にあるゴミ屋敷の当事者は、早期ではゴミ屋敷化してしまっていることに対して、「自分自身で困っていると自覚していない」という特徴があります。内閣府のゴミ屋敷住人への聞き取り調査で「身の回りのことで何か不満なことや困っていること、してもらいたいことはありますか」という質問に58.7%の人が「特にない」と回答していることからも明らかです。ゴミ屋敷であることを自覚しづらい心理にあるのです。
(出典:内閣府ホームページ

いくら説得を試みても本人が拒否
地域包括支援センターによるセルフネグレクト状態の改善支援にあたっても、「いくら説得を試みても本人が拒否したこと」が71.3%として指摘され、当事者の心理的状態が、ゴミ屋敷を始めとした「現状の問題認識・解決」に向いていないことがわかります。
出典:内閣府 経済社会総合研究所委託事業「セルフネグレクト状態にある高齢者に関する調査-幸福度の視点から 報告書」

自分では「自宅がゴミ屋敷とは思わない」「まだ大丈夫」と思っているだけで、実際は自力で片付けられないレベルにまで及んでいる可能性があります。

4 セルフチェック!自宅はゴミ屋敷?まだ大丈夫?

ご自宅がゴミ屋敷かどうか、5つの項目からチェックをするだけで簡単に診断ができます。

精神的に部屋を見ても片付けができない はい・いいえ
必要なものを探し出すのにゴミが邪魔で時間がかかる はい・いいえ
ゴミ出しや分別がわからないでいる はい・いいえ
ゴミで床の見えない箇所がある はい・いいえ
最近部屋が臭う気がする はい・いいえ
ハエやゴキブリがいるのを見かけた はい・いいえ

3つ以上該当するものがあればプチゴミ屋敷状態、4つ以上該当すれば完全にゴミ屋敷です。すぐに人の手を借りて片付けましょう!

ゴミ屋敷レベル詳細

ゴミ屋敷レベルの詳細

5 ゴミ屋敷を片付ける!2つの対処法

ゴミ屋敷を片付けるなら「自力で片付ける」「専門業者に依頼する」の2つの方法があります。

自力で片付ける方法

自力で片付ける場合は、作業時間の確保と作業人員の確保が必要です。

動画付!ゴミ屋敷自力片付けの手順~プロ費用を20万格安削減のコツ』でより詳しく解説していますのでぜひご確認ください。

ただし先ほど確認したゴミ屋敷レベルがレベル3~5の人は、プロに依頼したほうが安全で確実です。

プロを利用する際のポイント
  • 必ず見積もりを取って相場感を把握しましょう。
  • 作業トラブルが起きても安全な「保険加入済み」の業者を利用しましょう。
  • 所在のはっきりした信頼できる業者を利用しましょう。
  • 仲介業者を活用しましょう。※仲介業者がオススメの理由はコチラをご確認ください。

ご自身のゴミ屋敷のレベルと緊急度に応じて、自力・プロを使い分けましょう。

まとめ

ゴミ屋敷の8つの危険性やゴミ屋敷住人に多いセルフネグレクト状態、特徴やゴミ屋敷になってしまう原因・きっかけをご紹介しました。

ゴミ屋敷にしてしまっている人は、「自宅がゴミ屋敷かどうか正しく認識できない」傾向にあります。セルフチェックを用意しましたので、あなたも適切に判断できるようになっています。

ゴミ屋敷は、放置する時間が長いほど、状況が悪化し、片付けにかかるコストも時間もどんどん膨らんでしまいます。少しでも「散らかったな」と思ったら早めに片付けを始めて、一人で抱え込まず周りや専門業者の力も借りながら、ゴミ屋敷を改善していきましょう。

この記事がゴミ屋敷に悩むあなたの役に立つことを祈っています。